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現金管理をしっかり行っていますか?

2016年7月13日

現金管理は会計処理の基本中の基本
現金は持ち運びが容易で、記録や証拠として残りにくい特性を有するために、過不足が生じたり不正が起こりやすく、ミスや不正を未然に防ぐためにも現金管理は非常に重要です。
また、税務調査においても現金は重要な調査項目の一つです。それは、「現金実査はその結果が直ちに、ある程度の会社の処理の正確性を確認するのに役立つ」(『税務調査と証拠書類の揃え方』)といわれるように、現金管理が適正に行われているか否かによって、その企業の経理水準がおおむね推測できるからです。
現金管理がきちんとできていれば企業の会計上の仕組みや内部牽制が機能していると判断されるでしょうし、逆に、現金管理がずさんだったり、「現金残高は社長の財布の中」といった状況であれば、売上げや経費の計上にも不備がある可能性が高いと判断されることになります。

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日々の現金管理のポイント
現金管理がきちんと行われているか、まず以下のポイントをチェックしましょう。

  • Point1.社長以外の現金管理責任者が現金の受払いを行っているか
    社長個人のお金と会社のお金を明確に区別するためにも、社長自ら現金の受払いは避けましょう。
    経理担当者に領収書等を提出し、それにもとづいて支払いを受けます。
    ※この場合、銀行印は社長が保管し、現金管理責任者は金庫と鍵を管理します。

  • Point2.小口現金制度を採用しているか
    あらかじめ定められた金額を預金から引き出し、この補充金以外の一切の入金(売上代金等)を行わないことによって現金有高の管理が容易になります。

  • Point3.社内精算のルールを明確に定めているか
    交通費などの現金精算は、例えば「週1回・毎週水曜日」などと精算日を決め、必ず領収書や請求書等の証、書類をもとに行います。

  • Point4.日々の取引を記帳し、現金有高を確認しているか
    日々の取引はその日のうちに記帳(FXなどは入力)します。
    また、金庫内の日々の現金有高を、1日1回、金種ごとに枚数、金額を数えて「現金収支日報」に記載し、帳簿残高と実際の現金有高が一致しているかどうか確認します。

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銀行振込・振替の活用
現金の受払いを極力減らして、銀行振込や振替を活用しましょう。現金には、精算や有高の確認などの業務が日々あり、経理処理上のミスや紛失といった事故も考えられます。
こうしたミス等を避けるためにも、銀行振込・振替で支払いや入金を行う方法があります。

  1. 銀行振込等による支払い
    現金での支払いは少額な経費に限定し、1件当たりの支出限度額を決めて行うようにし、その限度額を超える支払いは、請求書を発行してもらい銀行振込で支払います。
    また社内の旅費や諸経費の精算もできるだけ銀行振込を活用しましょう。

  2. 口座振替等の利用
    公共料金などは自動振替を利用します。また、先方に出向いての売掛金の集金(現金や手形・小切手など)は、銀行振込による入金にできるだけ切り替えてもらいましょう。

ネットバンキングや法人用クレジットカードの活用
金融機関に出向かずに振込・支払いの取引内容が確認できるネットバンキングや法人用クレジットカードの利用があります。ネットバンキングから取引明細をダウンロードして、仕訳データとして利用するサービスも始まっています。

  1. ネットバンキングの利用
    ネットバンキングでは、パソコン上で取引ができます。休日や夜間・早朝でも利用でき、入出金明細の照会などもいつでもリアルタイムにできるので便利です。
    ※パソコン等のセキュリティ対策や、決済する際のパスワード管理などを万全にします。

  2. 法人用クレジットカードの利用
    法人用クレジットカードをつくり、諸経費の支払いにはクレジットカードを利用します。
    ※クレジットカードの利用明細とともに必ず領収書も保存します。
    ※カードの使用金額の上限など社内の利用ルールを明確にしておきます。

なお、ネットバンキングの入出金明細などを利用して、速やかに日々の取引を記帳(FXなどに入力)することが重要です。また預金口座の残高と帳簿残高が一致しているか確認します。

<会計事務所の指導によるFintech(フィンテック)対応>
経理事務担当者には現金・預金の管理や各取引の正確な仕訳などの事務処理が必要です。
今後、こうした事務負担を合理化し軽減する方法として、FinTech(フィンテック)サービスの活用が考えられます。FinTechとは「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を掛け合わせた造語で、広くITを活用した金融サービス全般をいいます。現在、財務・経理部門のFinTechサービスを提供する会社がありますが、安易に導入せず、会計の専門家であり貴社の経理の流れをよく知っている会計事務所の助言を受けることをお勧めします。
なお、会計事務所の指導によるFinTechサービスとして、銀行や信販会社の取引データを読み込んで仕訳ができるサービスが始まっています。