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平成29年4月1日からの消費税率10%への引上げが行われた場合、軽減税率が導入されると複数税率になります。インボイス式の導入も予定されており、仕入税額控除の要件も厳格化されます。これに対応するためにも、現在の記帳に不備がないか、再確認しておきましょう。
帳簿に記載する事項が不備だと仕入税額控除が受けられない?!
消費税の仕入税額控除を受けるには、「課税仕入等に係る帳簿及び請求書等の保存が必要」です。それらが保存されていない場合、仕入税控除は受けられないことになっています。
さらに、帳簿などを保存していても法定記載事項をすべて記載していないと仕入税額控除が受けられません。
●帳簿等の記載が不備で仕入税額控除が受けられなかったケース
A社は、現金出納帳及び仕入帳に課税仕入れの相手方の氏名または名称、仕入れた資産等の内容について、その課税仕入れが本当に行われたのかどうかを確認できる程度の具体的な記載がなかった。
A社は、税務調査の初日においてその帳簿書類を提示したのみで、その後も帳簿及び請求書等の提示が一切なかった。結局、帳簿の記載要項を満たしていないとして仕入税額控除は認められなかった。
(国税不服審判所裁決)
仕入税額控除が認められないと、納める消費税が増額します。
さらに税務調査でそうした指摘がなされ、過去にさかのぼって更生となると、加算税や延滞税が課される事態にもなりかねません。
仕入税額控除を受けるための帳簿の記載事項とは?
仕入税額控除を受けるためには、次の4点の記載が必須条件となっています。
<帳簿の記載事項>
仕入税額控除を受けるための記帳ポイント
消費税「インボイス方式」の導入による実務への影響
平成29年4月に予定されています消費税率の引上げと軽減税率の導入に伴い、前述の帳簿の記載事項4項目に加えて「軽減対象課税資産の譲渡等である旨」の記載が必要になります。さらに平成33年4月から、現行の請求書等を保存する方式に代えてインボイス方式(適格請求書等保存方式)の導入が予定されています。インボイス方式導入に伴い以下のようなことが考えられます。
・登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)はインボイス(適正請求書又は適格簡易請求書)の交付・保存が義務付けられ、仕入税額控除を受けるためには、このインボイスとこれまでどおり帳簿の保存が要件となります。
・請求書等の記載事項が9項目に増え各項目の記載が必要になります。
現行の5項目に追加される項目は以下のとおりです。
1.軽減税率の対象品目である旨
2.税率ごとに合計した対価の額
3.適格請求書発行事業者の登録番号
4.税率ごとに合計した消費税額
・課税仕入れの支払対価の合計額が3万円未満である場合に帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められる措置が廃止されます。など
インボイス方式の導入で事務負担が軽減されるかのような印象がありますが、仕入税額控除の要件が厳格化され、より適正な事務処理が求められます。その対応に備えましょう。
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