原町田中央事務所
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気候変動による集中豪雨や台風の大型化など、年々自然災害の被害が深刻になるにつれ、財産の損失リスクも高まっています。個人が災害などの被害に遭った際は、所得税・住民税の「雑損控除」を受けられます。万一に備えて、概要を確認しておきましょう。
夏から秋にかけて心配になるのが豪雨や台風の被害。もしも災害で自分自身や従業員の自宅・家財に被害が生じると、これからの暮らしも不安になってきます。
そうした苦しい状況のときに活用できるのが、所得税・住民税の「雑損控除」です。本人やその扶養親族等が所有する一定の資産について、災害・盗難・横領により損害を受けた場合は、雑損控除として一定額の所得控除を受けられます(雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています)。
「一定の資産」とは、次の2つの要件をいずれも満たすものをいいます。
○本人やその扶養親族等が所有している
○棚卸資産や事業用固定資産等または「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない
例えば、自宅や家財道具、自動車などが被害に遭った場合、雑損控除の対象となります。一方で、別荘や、1個または1組の価額が30万円超の貴金属・書画・骨董などは、「生活に通常必要でない資産」とされ、雑損控除の対象に含まれません。
雑損控除の額は、図表のように計算します。もし損失額が大きく、その年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間(特定非常災害により生じた損失額については5年間)にわたり繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
<図表>雑損控除の額
雑損控除の控除額は、次の2つのうち、いずれか金額が多くなるほうとなります。
①(損害金額 + 災害等関連支出の金額※1※2 - 保険金等の額※3) - 総所得金額等 ×10%
②(災害関連支出の金額※1 - 保険金等の額※3) - 5万円※1 災害により滅失した住宅、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額など
※2 盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のための支出など
※3 保険金等の額はまず損害金額から差し引く。保険金等の額が損害金額を超える場合には、災害(等)関連支出の金額から差し引く
なお、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害による被害を受けた場合、災害減免法による所得税の軽減免除を受けられるケースもあります。この場合、有利なほうを選択適用することができます。
※国税庁Webサイト「災害に関する所得税の取扱い(個人の方)」(令和8年6月1日現在)
<「損害金額」がわからないとき>
災害により被害を受けた住宅・家財・車両の損害金額は、「その損害の生じた時の直前における資産の価額」をもとに計算することとされています。しかしその計算が困難な場合、「合理的な計算方法」に基づいて損害金額を算出してもよいとされています。
※国税庁Webサイト「雑損控除の適用における『損失額の合理的な計算方法』」(令和8年6月1日現在)
雑損控除の適用を受けるためには、確定申告を行う必要があります(翌年以降に繰り越す場合、連続して確定申告を行います)。申告にあたっては、次にある書類等を用意しましょう。
<check!>確定申告に必要なもの
□罹災証明書・警察証明
□被害を受けた資産やその取得価額、取得時期がわかるもの
□写真など被害状況が確認できるもの
□災害等関連支出の金額がわかるもの(修理費・撤去費の請求書、領収書等)
□災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金等の金額がわかるもの
特に、写真などの「被害状況が確認できるもの」は、被害を受けた直後に用意し、確定申告のときまで残しておく必要があります。災害発生直後は先のことまで考える余裕がなくなってしまいがちですが、片付けに入る前に、必ず被害の様子をスマートフォン等で撮影しておきましょう。
雑損控除を適用する「その日」が来ても対処できるよう、必要なものを平時から確かめておくことをお勧めします。
シロアリ被害は「生物による異常な災害」に該当。住宅の修繕費用やシロアリ駆除費用は雑損控除の適用対象です。一方、シロアリ被害を事前に防ぐための費用は対象外です。
雑損控除は自然災害に限らず、盗難や横領の被害にも適用できます。警察に被害届を提出する際に、被害を届け出たことを証明する書類も取得しておきましょう。
店舗は事業用資産なので雑損控除の対象になりません。本ケースは、事業所得の必要経費になります。なお、個人の住宅が被害を受けた場合は適用可能です。
詐欺や恐喝の場合は雑損控除を適用できません。近年は詐欺の手法も巧妙化しています。被害に遭わないよう、くれぐれも注意するとともに、万一の場合はすぐに警察に相談しましょう。
<Tips>事業用資産が被害を受けたとき
個人が所有する事業用資産に、災害による損失が生じた場合、その損失額は必要経費に算入できます。また、法人が所有する資産に生じた損失や撤去費用などは損金に算入できます。