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年金制度改正法 (正式名称:社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年 金法等の一部を改正する等の法律) が2025年の通常国会で成立し、 公布されました。 改正法 では、社会保障制度全般に関わる多くの改正点がありますが、 その中でも中小企業において最 も影響のある社会保険の適用拡大について、 その概要を確認しておきます。
現在、従業員数(※)が51人以上の企業では、 以下の3つの要件をすべて満たしたパートタイ マー等が社会保険(健康保険・厚生年金保険) に 「短時間労働者」として加入することになって います。
① 週所定労働時間が20時間以上であること
② 所定内賃金が月額 8.8万円以上であること
③ 学生でないこと
これらの要件のうち、②の要件はいわゆる 「年収106万円の壁」 といわれる賃金要件です が、時給1,016円以上で、週20時間働くと賃金 要件 (年額換算で約106万円) を満たすことに なります。
そのため、全国の最低賃金が1,016円以上と なることが見極められた上で、 ②の要件が撤廃 されることになりました。 施行日は、公布から3 年以内の日で今後決定されます。
現在、従業員数(※)が50人以下の場合には、 1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労 働日数が、正社員の4分の3以上である場合に社会保険の被保険者となりますが、今後は 「短 「時間労働者」として加入する企業規模の基準 が下表のとおり、 約10年をかけて順次拡大さ れ、最終的には企業規模要件は撤廃されます。
法人の事業所は従業員数や業種に関わら ず、社会保険の適用事業所となります。 これに 対して、 個人の事業所は、 常時5人以上の従業 員を雇用する場合であって、法律で定める17業 種に該当した場合に、 社会保険の適用事業所 となります。
2029年10月からは、 この業種に係る要件が 撤廃され、 今まで適用事業所とはならなかった業 種においても、常時5人以上の従業員を雇用す る場合には適用事業所となることとなりました。
なお、 2029年9月までに適用対象外となって いる事業所は当面適用が除外されることも決 まっています。
今回の社会保険の適用拡大のうち、 特に企業規模要件の撤廃により、 社会保険料の負担を重く感じ、 労働時間を短くするパートタイマー等が出てくる可能性があります。 そのため、 就業調整を減らすための 被保険者への支援策も別途設けられました。 ご関心ありましたら、 お早目に当事務所までご連絡ください。