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社長の「今期やりたいこと」を数字に落とし込んだものが、経営計画です。経営計画は毎月の実績と照らし合わせてこそ、その真価を発揮します。期の「折り返し」では、上期の振り返りを行いましょう。業績の改善を図るチャンスにもなります。
※本稿は、「事務所通信」2025年3月号「ギャップ」は成長のヒント!経営計画を活用しましょう(実践編)」の続編です。
居酒屋(11月決算)を営む田中社長と佐藤巡回監査士が、5月分の巡回監査終了後に上期を振り返っています。
第2四半期が終わり、今期も折り返しです。上期の実績を振り返りながら、「このままいくと、こうなる」という今期の「着地点」を確認してみましょう。まず、財務会計システムの「業績管理」の「予算実績比較表」をクリックしてください。
売上高は当初の計画通り進捗しており、前年比でも110%と順調です。一方、売上原価(仕入高)は予算比105%となっており、限界利益額は予算に達していない状態です。経費に関しては、当初の計画通り、賃上げも行っているので増加しています。結果、経常利益はかろうじて黒字となっています。
社長の感覚通りだったということですね。それと、売上に比べて売上原価(仕入高)が予算を上回る増加を示していますが、これに関して何か思い当たることはありますか。
まとめて仕入れれば限界利益率は下がりますね。こういう場合は在庫を計上して、正しい限界利益を把握できるようにすると良いでしょう。経費についてはいかがですか。
ある程度、上期の全体像が見えてきたところで、次に「当期決算の先行き管理」で着地点を確認してみましょう。システムをあらためてご覧ください。「①実績」は上期の業績です。それから、「業績予測値を入力」を選択して、シミュレーションする業績予測の数字を一緒に入力していきましょう。
結果、固定費の圧縮額が100万円必要と分かりました。とはいえ、人件費等の固定費の圧縮はなかなか難しいと思います。売上アップか、仕入の圧縮を図る方法を探ることが必要になると思いますが...。
仕入価格も上がり、難しい局面ですね。ところで社長、食材のロスについてはいかがですか。というのも、食材ロスは限界利益率を下げる一因でもあります。このままだと経常利益も目標に届かず、資金繰りが少し苦しくなってくる懸念がありますので、すでに十分意識されているとは思いますが、今後はさらに配慮されると良いかもしれません。
1日あたりの売上をあと2万円伸ばせば、借入金の返済をしても資金繰りは安定しそうですよ。
そういえば、さっき佐藤さんから食材ロスのことを言われてはっと思ったのだけれど、前夜に半端に残った食材を使ったカレーランチのテイクアウトを考えてみてもいいかも。1日30食程度なら仕込みも1人で十分だし、テイクアウト限定ならうちの妻に手伝ってもらえば何とかなるかな。価格は並盛り500円、大盛り700円でどうだろう。
1日2万円の売上確保と限界利益アップの道が見えてきましたね。ぜひチャレンジしてください!ただ、社長が「今期やりたいこと」の1つに掲げておられた「業務用冷蔵庫の買い換え」は、少し様子を見ましょう。お昼の営業が軌道に乗った後、9月に開催する決算事前検討会で、あらためて利益税金資金繰りの着地点を見てみて、それから買い換えができるかどうか一緒に検討してみましょう。