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インボイス制度導入から1年が経過しました。インボイス発行事業者間の取引については、実務上の混乱は少なくなってきましたが、注意が必要なのは免税事業者等との取引です。免税事業者等からの仕入れに係る原則や経過措置を受けるための要件等を再確認しましょう。
インポイス制度では、買手が仕入税額控除の適用を受けるには、原則として、売手が発行したインボイスの保存が必要です。したがって、免税事業者や適格請求書発行事業者登録を受けていない課税事業者等の、インボイスを発行できない取引先からの課税仕入れについては、原則として、仕入税額控除の適用を受けることができません。
免税事業者等からの課税仕入れであっても、経過措置として、令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%、令和11年9月30日までは同50%について、仕入税額控除を受けることができます。ただし、この経過措置の適用を受けるためには、次のことが必要です。
●請求書・領収書等に消費税込みの請求金額・領収金額(「区分記載請求書等保存方式」の記載事項)が記載されていること
●帳簿に「80%控除対象」など、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載
免税事業者等との取引においては、メールや建設業等で使用される出面、請求書の形式が整っていない文書等のやりとりだけで済ませてしまうこともあるかもしれません。基本的には、請求書・領収書等に前記の内容が記載されていれば問題ありませんが、「本体価格のみ」など、記載要件を満たしていない請求書等の場合や、請求書等が発行されていない場合には、仕入税額控除(経過措置の適用)が受けられないので注意しましょう。TKC自計化システムでは、免税事業者等からの課税仕入れについて、[52](課税売上げ)または[72](売上げ共通)の課税区分を使用しますが、そもそも記載要件が満たされている請求書等であるかどうか、まずはきちんと確認することをあらためて徹底しましょう。
※免税事業者等から受け取った請求書等に不備があった場合、一部の記載事項に限り買手側が追記して保存することが認められています。
経過措置が終了すると、買手は仕入税額控除が受けられなくなり、結果として、消費税の納税額が増加することになります。そのため、控除割合が80%から50%に引き下げられる令和8年9月30日までに、取引条件等を含めた仕入先と交渉の機会を持つことを検討してみましょう。仕入先との交渉にあたっては、下請法や独占禁止法、フリーランス法等が定めるルールに違反しないようにしなければなりません。
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