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労働基準法の改正によって、有給休暇の制度が見直され、4月1日から年10日以上の有給休暇の取得の権利がある従業員に対して、会社は最低5日以上の有給休暇を取得させることが義務付けられます。この制度は、会社の大小に関係なく、すべての企業において適用されます。
有給取得の義務化とは?
現行の年次有給休暇の制度は「6ヶ月以上継続勤務」し、「全労働日の8割以上出勤」した従業員に対して、会社や同僚への遠慮、休みづらい雰囲気などを理由に、なかなか有休が取得できず、有休消化率の低さが社会問題になっていました。
改正では、年10日以上の有休を取得できる従業員に対して、そのうち5日分は、必ず取得させることが会社に義務付けられました。
ただし、すでに5日以上の有休の取得が進んでいる場合は、義務化の対象にはなりません。
また、従業員自らが取得した日数は5日分から除かれます。
義務化の対象から除かれる例
- 従業員が年5日以上の有休を取得している。
- 会社が計画的付与によって年5日以上の有休を取得させている。
対象となる従業員は「年10日以上の有休が付与された従業員」で正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトも義務化の対象になります。
なお、違反した場合は、従業員1人あたり30万円以下の罰金が科せられます。
また、「年次有給休暇管理簿」を作成し、各従業員の有休の取得状況を把握・管理することが義務付けられました。
どのように取得させればよいのか?
会社側の対応としては「個別指定方式」「計画的付与制度の導入」があり、どちらを利用するかは、それぞれのメリットデメリットを比較する必要があります。
(1)個別指定方式
従業員ごとに有休の消化日数を定期的に確認して、5日未満になりそうな従業員がいれば、その意見を尊重したうえで、有休の取得日を指定する方法です。
(2)計画的付与制度の導入
この制度は、会社が計画的に有休の取得日を指定する方法で、企業の実態に合わせて様々な付与の方法があります。
①全社一斉に特定日を有休にする
有休の指定日お全従業員同一の日にする方式で、製造業など操業を止めて全従業員を休ませられる会社に活用しやすい方法です。
②部署ごとに有休をとる
部署・班・グループ別に交替で有休を指定する方式で、流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業に活用しやすい方法です。
③個人ごとに有休取得日を決める
従業員一人ひとりの有給の取得日を、あらかじめ決めておく方法です。例えば、個人別に夏季、年末年始、ゴールデンウィークの他、誕生日や結婚記念日などを指定するとよいでしょう。
有休は入社日から起算して6ヶ月で10日が付与されるため、従業員の入社日ごとの管理が必要になります。計画的付与制度を活用し、全社的に起算日を合わせる等、管理しやすくすることも必要です。
個別指定方式と計画付与制度のメリット・デメリット
個別指定方式 計画付与制度 メリット
- 会社と従業員が話し合って有休を取得する日を決めればよいので、労使協定を締結する必要がない。
- 現状において、すでに年5日以上を取得している従業員が半数を超えているような会社は、消化日数が5日未満の従業員に対して、個別に有休を取得させればよい。
- すでに年5日以上の有休を取得している従業員には取得日を指定する必要がない。
- 労使協定によって、5日間の有休取得日を決めることで、従業員ごとに管理する必要がない。
- 計画的付与制度で年5日以上の有休を与えれば、改正法の指定義務の対象外になる。
- 現状で年5日以上有休を取得している従業員が少ない場合、お盆や年末年始、飛び石連休などを利用して消化させれば、業務への影響が小さい。
デメリット
- 従業員ごとに有休の消化日数を把握する必要があるため、管理に手間がかかる。
- 労使協定の締結が必要である。
- 一度定めた有休取得日を会社都合で変更できない。
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