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こんなときどうなる?役員給与Q&A

2025年5月19日

役員給与を変更するときの流れを再確認したい


  • 相談者
  • 会社設立から2年が経ちました。経営が軌道に乗ってきたので、創業時に決めた役員給与の見直しを考えています。どんな手続きが必要か、あらためて教えてください。

  • 専門家
  • 役員給与については、会社法により、定款または株主総会の決議で定めることとされています。定款に定めのない場合には、次のようなプロセスを経ることが必要です。

    ①株主総会で役員給与の総額(または上限枠)を決める
    (個別の支給額は「取締役会または代表取締役に一任」としても差し支えない)

    ②取締役会で、株主総会決議に基づく総額(または上限枠)の範囲内で、役員への個別の支給額を決定する

    ※①②いずれも議事録を残しておくことが必要。

    なお、税務調査では、「形式基準」と「実質基準」の2つの基準に基づいて、役員給与の適正性がチェックされることがあります。

    形式基準は、決められた条件や手続きがきちんと守られているかどうかを判断するもので、「株主総会の決議がなされているか」「総支給額は株主総会決議と同じ(または範囲内)か」等が該当します。実質基準は、役員給与の支給内容が妥当かどうかを判断するもので、「会社の収益状況/役員の職務内容に応じた金額になっているか」「同業他社と比較して不相当に過大でない「か」等が該当します。

配偶者(みなし役員)に対して賞与を支給したい


  • 相談者
  • 最近は業績が良く、私の右腕として頼りにしている経理部長である妻も頑張ってくれています。そこで、12月の賞与の支給時期には、妻にもボーナスを出したいと考えているのですが。

  • 専門家
  • 社長(90%出資)の奥様は取締役会にも出席され実質的に経営に従事されていることから、「みなし役員」に該当する可能性が高く、そのため奥様への賞与については損金算入が認められないおそれがあります。今後、奥様に賞与を支給するのであれば、社長の「事前確定届出給与」の届出を行うときに、奥様の賞与の分も含めて税務署へ届出をした上で支給することを検討しましょう。

業績好調のため役員への賞与を増額したい


  • 相談者
  • 当社は7月決算法人です。今期の着地点が見えてきて、おかげさまで増収増益が実現できそうです。そのため、夏(7月)の従業員賞与の支給額は弾みたいと考えています。役員2人についても、夏の賞与をアップしたいのですが、特段問題はありませんか。

  • 専門家
  • 御社の場合、すでに「事前確定届出給与」の届出書で、役員2名の今期の賞与(12月・7月)の支給額を提出されています。夏の賞与の支給額を増額した場合、届出金額と異なるため、支給済の冬の賞与を含め、その全額が損金不算入になりますので注意しましょう。

業績不振のため役員給与を減額したいが...


  • 相談者
  • 当社は9月決算法人で、社長である私の役員給与として毎月100万円を支給しています。ただ、このところ物価高や人件費が高騰していることもあり、一時的に資金繰りが苦しくなってきました。そこで今月(5月)から私への支給額を60万円に減額したいと考えているのですが...

  • 専門家
  • 「定期同額給与」については、
    ①財務諸表の数値が相当程度悪化した場合
    ②倒産の危機に瀕している場合
    ③経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与を減額しなければならなくなった場合
    など経営状況が著しく悪化したことにより「業績悪化改定事由」に該当する場合、期中に減額改定をしても損金算入が認められています。減額改定ただし御社のケースでは、「一時的な資金繰りの都合」による減額改定になりますので、残念ながら損金として認められない部分が出てくる可能性があります。期の途中で100万円から60万円に減額すると、最初から60万円だったものとみなされ、差額40万円×7か月分(10月から4月まで)=280万円が損金不算入となります。