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人手不足だからこそ成長に向かう絶好のチャンス

2025年5月 5日

AIは体を使って汗を流しながら仕事をすることはできません。中小企業の「現場」に近い人たちは猛烈に足りなくなります。生産現場や観光業医療・介護、各種サービス業などがそうです。こうした現場の方々がAI・DXを補完材としてうまく使えば生産性は劇的に上がります。

ただ、AI・DX化の前にやるべきことがあります。「分ける化」「見える化」です。まずは生産性が高く、儲かっている部分はどこなのかを見極めることが大事。そのためには製品別、店舗別、個人別などにデータを切り分けてさまざまに分析することです。そして儲かる分野に狙いを定めて、経営資源を集中していく。それをやってからAIDXです。それをやらないでDX化してもほとんど意味がありません。DXやAIはあくまでも経営改善の手段ですから。ここは絶対に間違えてはなりません。

生産性を上げて賃金を上げることが会社としての成長力につながることは明らかになりつつあります。賃金を上げられないのであれば退場するか、あるいは生産性の高い会社に事業譲渡をすることを考えるべきでしょう。

従来は中小企業にとっては手が届かなかったDXツールが利用可能なのです。クラウドベースなので廉価で利用できる。もはや中小企業にハンディキャップはありません。暗い眼鏡をかけて世の中を見ていた人がその眼鏡をはずしたら空は晴れている上に追い風が吹いている、というわけです。

日本の最大の強みはローカルな現場の労働力の質が世界的にみて圧倒的に高いことです。突出した才能では米国には勝てません。しかし一方で平均的な人たちのレベルは高い。そういう人たちが現場を担ってきたにも関わらず生産性が低いのはそもそもおかしいのです。

今がチャンスです。人手不足をテコにして生産性を上げ、賃金を上げ、GDPを押し上げる。今一度日本は世界のトップに浮上できると思います。

(戦略経営者2025年3月号/(株)TKC戦経インタビュー富山和彦氏)