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<2026年経営者塾>「会社の数字に強くなる!」正しい判断をするための会計活用講座

開催日:2026年8月5日

category : セミナーレポート

2026年8月5日、経営者向けセミナー「2026経営者塾 会社の数字に強くなる! 正しい判断をするための会計活用講座」を開催しました。

昨年に続いて、うどん屋をモデルにしたケーススタディを用いながら、会社の数字を日々の経営判断にどう活用するかを考えました。

今回は、利益の構造を捉える「PL編」に加え、会社の財務体質や資金の流れを確認する「BS・キャッシュフロー編」まで内容を拡大。電卓と自社の決算書を使ったワークを交え、一般的な会計知識を自社の課題に置き換えていきました。第1部をPL編、第2部をBS編とし、利益に関する意思決定や自社のキャッシュポジションなどを主なテーマに掲げています。

1.「損」とは何か? ── 変動費と固定費の視点

最初に扱ったのは、「損の正しい捉え方」です。

うどんを落として作り直した場合、お客様が待ちきれずに帰った場合、注文後のキャンセルで商品を廃棄した場合。同じ「損」に見えても、失われるものは材料費なのか、本来得られたはずの利益なのか、あるいはその両方なのかによって内容が異なります。

ここで重要になるのが、費用を変動費と固定費に分ける考え方です。売上に応じて増える材料費と、売上がゼロでも発生する人件費や家賃を区別することで、損失の見え方や、売上が利益に与える影響を整理しました。

前年と同様に、変動費を「売れれば売れるほどついてくる費用」、固定費を「売れなくても発生する費用」と身近な比喩で表現し、会計を経営に利用するための土台をつくりました。

2.利益を増やす判断 ── 外注か内製か、特別注文は受けるべきか

続いて、利益を増やすための意思決定について考えました。

製造原価よりも外注価格が安い場合でも、単純に二つの金額を比較するだけでは、外注が有利とは限りません。製造原価のうち、外注によって本当になくなる費用は何か、残る人員や設備を別の売上に生かせるかまで確認する必要があります。

原価割れに見える特別注文についても、総原価だけを見て断るのではなく、追加受注によって増える費用、現場の対応力、既存顧客への価格面の影響など、数字と実務の両面から判断します。

前年と共通するテーマですが、正解を覚えるのではなく、判断するために何を確認すべきかを見つけることが中心となりました。

3.損益分岐点から必要な売上を考える

売上高、変動費、限界利益、固定費、利益の関係を図に置き換え、会社の利益構造を整理しました。

損益分岐点とは、固定費と限界利益が等しくなり、利益も損失も発生しない売上高です。自社の固定費と限界利益率を把握することで、「最低限どれだけの売上が必要か」「現在の売上にはどれほどの余裕があるか」を確認できます。

さらに、売上を増やした場合に利益がどう変わるのか、値下げ後も同じ利益を確保するには販売数量をどれだけ増やす必要があるのかを検討しました。

値下げは売上を増やすきっかけになる一方、1件あたりの限界利益を減少させます。価格だけを変更するのではなく、必要となる販売増を継続できるかまで考えることが重要です。

4.割合だけでは判断できない労働分配率と部門別採算

PL編の後半では、粗利に占める人件費の割合を示す労働分配率を取り上げました。

労働分配率が同じ会社でも、粗利の金額や従業員一人あたりの生産性が異なれば、会社の状態は同じではありません。割合だけを見るのではなく、その数字がどの程度の粗利や事業規模から生まれているかを確認する必要があります。

部門別採算についても、営業利益が赤字という理由だけで撤退を決めるのではなく、その部門が生み出している限界利益や、撤退後も残る固定費を踏まえて判断します。

過去の結果だけでなく、売上を伸ばしたときにどの部門の利益が大きく増えるのかという、将来に向けた視点も整理しました。

5.バランスシートは、社長の意思でつくられる

第2部では、貸借対照表(BS)を「集めたお金」と「そのお金を何に使っているか」に分けて考えました。

PLが一年間の企業活動の結果を表すのに対し、BSには、在庫をどれだけ持つか、売掛金をいつ回収するか、設備投資を行うか、いくら借りるか、現金をどの程度確保するかといった経営者の意思が表れます。

決算時に完成したBSを眺めるだけでなく、将来どのような形にしたいのかを考える。その第一歩として、会社の安全性を示す自己資本比率を確認し、自社の数字を使って計算しました。自己資本比率を高める方法として、不要な資産や借入を減らすこと、利益を蓄積することなどを挙げています。

6.在庫・売掛金・借入金を「お金の動き」から見る

在庫や売掛金は、貸借対照表上では資産ですが、すぐに支払いへ使える現金ではありません。利益が出ていても資金繰りが苦しい場合、会社のお金が在庫や売掛金として止まっている可能性があります。

在庫量、売掛金の回収期間、買掛金の支払期間から運転資金を計算し、事業を続けるためにどれだけのお金が必要なのかを確認しました。

借入金についても、「いくら借りられるか」ではなく、いくら返せるかという視点が欠かせません。元金返済は経費にならず、税金を支払った後の利益などから返済するため、売上高、利益、自己資本、総資産とのバランスを見る必要があります。

7.黒字なのに、なぜお金がないのか

利益と現金は、同じ動きをするとは限りません。

掛けで売上を計上すれば、入金前でも利益は発生します。在庫の増加、設備投資、借入金の返済などによっても、利益と手元資金には差が生じます。

キャッシュフロー計算書を見ることで、事業活動によって現金を生み出せているか、設備投資にどれだけ使っているか、借入や返済によって現金がどう動いているかを確認できます。

利益がどこへ移ったのかをPL・BS・キャッシュフローからつなげて捉えることで、「黒字なのになぜお金がないのか」という疑問を解く視点を学びました。

決算書は、過去の結果を報告するためだけの資料ではありません。値下げするか、外注するか、どの部門を伸ばすか、在庫を減らすか、借入を行うか。数字の構造を理解することで、経験や感覚だけに頼らず、根拠を持って判断できるようになります。

今回の経営者塾では、PLで利益の構造を確認し、BSとキャッシュフローで会社の体力と資金の流れを捉えました。自社の決算書を実際の経営判断に結びつける、実践的な時間となりました。

T&A税理士法人では、引き続き皆様の税務・経営に寄り添い、実務に役立つ情報提供とサポートを行ってまいります。会社の利益構造や資金繰り、借入金、今後の経営計画について、今後ともお気軽にご相談・ご活用いただければ幸いです。

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