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育児・介護休業法 実務対策セミナー

開催日:2026年2月12日

category : セミナーレポート

2026年2月12日、T&A税理士法人主催の「育児介護休業法 実務対策セミナー」が開催されました。
近年の度重なる法改正により、育児・介護に関する制度は年々複雑化しています。
「パートでも育休は取れるの?」
「介護休業って93日で足りるの?」
「新しい給付金制度にどう対応すれば?」――
こうした現場の疑問に応えるべく、今回のセミナーでは制度の全体像実務でつまづきやすいポイント、そして企業として対応すべき最新の法改正事項の3つを柱に、実践的な解説が行われました。

介護休業は「介護に専念するため」の制度ではない

セミナー前半では、まず介護に関する制度の全体像が解説されました。冒頭、「これまでに介護休業を取得した従業員がいる会社はありますか?」と問いかけると、手が挙がったのはごくわずか。育児休業と比べて、介護休業はまだまだ認知が進んでいないことが浮き彫りになりました。

多くの方が驚いていたのが、「93日」という日数に込められた本当の意図です。介護休業は「自分が家族を介護するためのお休み」ではないと強調しました。では何のための93日なのか――そこには、介護の各段階に合わせて戦略的に使い分けるための明確な設計思想がありました。この仕組みを理解しているかどうかで、従業員への案内の仕方がまったく変わってくるとのことです。

実務で間違えやすい3つの「思い込み」

制度の解説に続き、実務現場で特に間違いやすいポイントが紹介されました。「3つの思い込み」は、参加者の多くが「自社でもそう運用していた」と頷くものばかりでした。

たとえば、「正社員でなければ介護休業は取れない」と思い込んでいませんか? 実はパートやアルバイトであっても、一定の条件を満たせば取得が可能です。さらに、労使協定の有無によって対象者の範囲が大きく変わるため、自社の協定内容を改めて確認する必要があります。

また、「要介護認定がないと対象にならない」という誤解も根強いようです。セミナーでは、認定がなくても取得できるケースや、証明書類をめぐる実務上の注意点について、具体的な対応方法が解説されました。

3つ目の思い込みは社会保険料の扱いに関するもので、育児休業と介護休業では制度が大きく異なります。この違いを知らないと、従業員の手取り額に関して誤った説明をしてしまうリスクがあります。給付金の対象になる人・ならない人の違いも含め、従業員への正確な周知が求められるポイントです。

育児休業の「知っているようで知らない」実務ポイント

セミナー後半では、育児に関する制度が実務視点で解説されました。

まず取り上げられたのが、計画分娩が増えている昨今の産前産後休業の起算日をめぐる問題です。「出産予定日」はどの日を基準にするのか――この判断を誤ると、休業期間の計算にズレが生じます。実際の出産日によって産前産後休業の期間が変動する仕組みについても、わかりやすい解説がありました。

社会保険料の免除についても、実務上の重要なポイントが示されました。月末に休業していれば免除という基本ルールは広く知られていますが、月末に休業していない場合の取り扱いや、賞与にかかる保険料の免除要件は意外と知られていません。特に、給付金の要件と保険料免除の要件が異なる点は見落としがちで、従業員の手取り額に直接影響するため注意が必要とのことでした。

男性の育児休業については、分割取得の回数や産後パパ育休中の就業ルールなど、制度をフル活用するために知っておくべき実務上の注意点が紹介されました。「働けるから働かせよう」という安易な判断が思わぬ落とし穴を招くケースもあり、参加者からは「知らなかった」という声が多く上がりました。

新設された給付金制度 ― 「手取りが実質10割」の仕組みとは

出産・育児に関わる給付金は、申請先が健康保険(協会けんぽ)とハローワークに分かれており、制度も複雑です。今回のセミナーでは、特に新設された2つの給付金制度に焦点が当てられました。

1つ目の「出生後休業支援給付金」は、夫婦がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合に、通常の給付金に上乗せされる制度です。非課税かつ社会保険料免除と合わせると、手取りでほぼ従前の給与と同水準になるケースもあるとのこと。配偶者が専業主婦やフリーランスの場合の取り扱いなど、申請の際に見落としがちなポイントも詳しく解説されました。

2つ目の「育児時短就業給付金」は、時短勤務をしている従業員に対して給与の一部が補填される制度です。ただし、すべての時短勤務者が同じように給付を受けられるわけではありません。施行前から時短勤務を続けているケースでは、算定基礎の仕組み上、給付額がゼロになる可能性もあるとのこと。「全員に出る」と安易に案内するとトラブルの原因になりかねないという注意喚起は、参加者にとって大きな気づきになったようです。

「制度を整えればOK」の時代は終わった ― 企業に求められる"能動的な対応"とは

セミナーの締めくくりでは、直近の法改正で企業に新たに義務づけられた対応事項が解説されました。

介護に関しては、従業員が介護に直面してからの対応では遅いとして、ある年齢に達した時点での早期情報提供が義務化されたことが紹介されました。加えて、介護離職を防止するための雇用環境整備や、個別の制度周知・意向確認も必須となっています。

育児に関しては、3歳以降小学校就学前の子を養育する労働者に対して、企業が複数の選択肢から措置を選んで導入する義務が新たに課されました(2025年10月施行)。また、妊娠・出産の申出時と子が一定の年齢に達する前の2つのタイミングで、個別の意向聴取と配慮が必要となっています。

ここで強調したのは、「意向確認」と「意向聴取」は似て非なるものだという点です。一方は「伝えるだけ」で足りますが、もう一方は従業員からの回答がなければ会社側から追いかける必要がある――この違いを理解していないと、知らず知らずのうちに法令違反の状態になってしまう恐れがあるとのことでした。

今回のセミナーを通じて明確になったのは、もはや「制度を就業規則に書いておけばよい」という時代は終わったということです。制度を正しく理解し、該当する従業員に個別に周知し、意向を聴き取り、配慮する――この一連の対応が企業に求められています。

年に1回タイミングを決めて該当者を洗い出すなどの現実的な運用方法についてもお話させていただきました。管理すべき従業員情報の範囲も広がっており、従来の人事管理では対応しきれない領域が増えてきています。

育児・介護をしながらでも働き続けられる職場環境を整えることは、人材確保・定着の観点からも企業の大きな強みになります。面倒に感じる部分もあるかもしれませんが、それが会社の魅力となり、良い人材が集まり、長く働き続けてくれることにつながるのです。

T&A税理士法人では、社会保険労務に関するご相談も承っております。「自社の就業規則が最新の法改正に対応できているか確認したい」「育児・介護休業に関する労使協定の見直しをしたい」「従業員から休業の申出があったが、どう対応すればよいかわからない」など、お困りのことがございましたらお気軽にお問い合わせください。

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