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令和7年度 税制改正セミナー

開催日:2025年4月24日

category : セミナーレポート

2025年4月24日(木)、T&A税理士法人主催の「令和7年度 税制改正のポイント」セミナーが開催されました。
本年は少数与党下での法案審議という異例の政治情勢を背景に、例年よりも成立内容が絞られた一方、実務に直結する重要改正が多数盛り込まれた点が特徴です。

今回のセミナーでは、成立した改正内容をもとに、特に影響の大きいテーマを中心に分かりやすく解説が行われました。

 

中小企業向け 税制優遇の延長・拡充

今回の税制改正では、中小企業支援策の一環として、中小企業経営強化税制の延長・拡充が行われました。これにより、生産性向上に資する設備への投資については、即時償却または税額控除(最大10%)のいずれかを選択できる優遇措置が引き続き利用可能となっています。
あわせて、中小企業投資促進税制防災・減災投資促進税制についても、適用期限がさらに2年間延長され、企業の積極的な設備投資を後押しする仕組みが強化されました。
さらに、売上高90億円未満の中堅企業が100億円企業への成長を目指す場合に、特定の建物投資も含めた税制優遇を受けられる新たな特例も創設されました。

 

法人税の新税:「防衛特別法人税」の創設

法人税に新たな税負担として「防衛特別法人税」が創設されました。これは、法人税額が500万円を超える法人に対して、その超過部分に4%の追加課税を行うものです。
適用開始は令和8年(2026年)4月1日以降に開始する事業年度からとされており、実質的には年間利益5,000万円程度以上の企業が新たな課税対象となります。
防衛力強化に必要な財源確保を目的としたこの制度は、一定以上の利益を上げる企業に限定して負担を求める仕組みとなっています。

 

特例事業承継税制の見直し

また、資産税分野では特例事業承継税制に関する重要な見直しが行われました。
これまで後継者は「贈与の直前まで3年以上役員在任」という厳格な要件がありましたが、改正により、贈与直前に役員であれば要件を満たすとされ、事業承継の柔軟性が高まりました。
この改正は、令和7年1月1日以後の贈与から適用されます。

ただし、特例事業承継税制自体は、2027年12月末で新規申請受付が終了予定となっており、依然として適用には入念な準備と制度管理が求められます。
経営承継を検討中の企業にとっては、今回の要件緩和を追い風に、早期の計画策定と対策実施が重要となります。

 

注目の「年収の壁」見直し(個人所得税)

今話題の、いわゆる「年収の壁」問題への対応として、個人所得税に大きな見直しが行われました。これまで所得税がかからなかったラインは年収103万円でしたが、令和7年分からは年収160万円まで非課税範囲が大幅に拡大されます。
また、19歳以上23歳未満の大学生世代を対象に、「特定親族特別控除」が新設され、アルバイト収入が年収150万円超となった場合でも、段階的に扶養控除が縮小される仕組みが導入されました。
所得税の減税効果は、単身世帯で年間2〜3万円、共働き世帯では4〜5万円程度と試算されており、2025年12月以降の年末調整から順次反映される予定です。

 

確定拠出年金制度の改正

確定拠出年金(DC)制度に関する見直しも行われ、拠出可能額の上限が拡大されました。
個人型(iDeCo)では、自営業者等の掛金限度額が年68万円から75万円に引き上げられ、会社員向けの企業型DCでも、企業年金制度の有無に応じた拠出枠拡大が認められることになりました。
さらに、拠出可能年齢が65歳から70歳へ延長され、老後資金準備の選択肢が広がります。
一方、確定拠出年金の受給と退職所得控除の取り扱いについては「10年経過」ルールが新たに導入され、受給タイミングの検討が必要になる点にも注意が必要です。

 

子育て支援に関する税制改正

子育て世帯への支援策も拡充されました。
まず、住宅ローン控除制度では、19歳未満の子を持つ世帯または夫婦いずれかが40歳未満の世帯に対し、借入限度額が優遇される特例が導入されました。
また、生命保険料控除についても、23歳未満の扶養親族がいる場合に限り、令和8年分所得税において一般保険控除の上限が5万円から6万円に引き上げられます(ただし全体枠は変更なし)。
加えて、結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度も2年間延長され、令和9年3月31日まで適用が可能となりました。

本セミナーでは、令和7年度の税制改正における重要ポイントを中心に、法人・個人双方に関わる実務的な影響について解説しました。
改正内容は単なる増減税にとどまらず、制度設計そのものの前提が大きく変わる点も多く、今後の経営判断やライフプランに直結する重要なテーマとなっています。

今年の改正は、“これまで通り”が通用しなくなる転換点です。
企業としても個人としても、変化を前向きに捉え、今後を見据えた最適な選択肢を早めに準備していくことが、ますます重要になっていきます。

T&A税理士法人では、引き続き皆様の税務・経営に寄り添い、実務に役立つ情報提供とサポートを行ってまいります。
今後ともご相談・ご活用いただけますようお願い申し上げます。

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