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ここでしか聞けない!事業承継とM&Aのトークセッション

開催日:2022年11月21日

category : セミナーレポート

令和4年11月21日(月)、事業承継とM&Aに関わるトークセッションを行いました。事業を人から人へ伝承するとも言える事業承継。そして、事業の可能性を未来に広げるとも言えるM&A。その2つに関する実体験を、勝又鉄筋工業の曽根原幸徳社長と株式会社ラグザイアの毛利良相社長から皆様と共に拝聴しました。

それでは、第1部と第2部に分けて行われた内容について振り返ります。

 

第1部:勝又鉄筋工業・曽根原幸徳社長/創業親族ではない従業員が会社を承継する

勝又鉄筋工業は、1973年に創業し、先代の勝又社長と共に奥様が経理を担当され50年以上事業を続けてこられた会社です。そういった家族経営とも言える事業を一切血縁関係のない曽根原社長が承継したという事例になります。

◎曽根原社長について

曽根原社長(61)は、23歳の頃に勝又鉄筋工業に入社し、2018年に代表取締役に就任しています。その時点では、まだ株主ではなく事業承継をしたのみであり、2020年に持株会社を設立し株主となってM&Aに至ったという形です。
我々T&Aとは、事業引継ぎセンターを介して2019年12月にお会いし、2020年5月8日に株の売買契約を結びました。半年弱で株の移行に至るまでの流れは以下のとおりです。

◎事業承継への流れ

まず、事業承継に関してです。先代、勝又社長にはご子息がいますが、別な企業に勤めており今後も勝又鉄筋を継ぐ意思はありません。創業親族として事業を引き継ぐ者はいない状況です。

曽根原社長は、23歳で勝又鉄筋に入社し、先代の下、仕事に精を出し、工事部長を経て40歳の頃に専務になります。

曽根原社長としても、専務になった頃から勝又鉄筋の未来を考え始めるようになったものの、代表取締役に就任時点では株主にはなっていない、一株も持っていないという状況でした。

・事業承継あるある「いつか買い取ってね」と言うのみで、実行に結びつかず
例えば親族内承継などでもありがちな、株を渡す渡すと言いながらもその先に進んではいないという実例が多くあります。
曽根原社長の場合も、先代と共に将来的な考えは合致していたものの、株に関しては先送りとなっていた状況がありました。

・先輩方からの助言
そういった中で、同じ業界の先輩社長たちから「これから先代が年を取り、もしものことが起きれば大変だ。銀行の融資や株の買取りも含めて真剣に考えたほうがよい」という後押しを受けます。

◎事業承継への流れ。後押しを受け、いよいよ本格的にM&Aに動き出す

曽根原社長の次女が経理として勝又鉄筋に入社します。そして、ご息女を介し、事業継続引継ぎ支援センターやT&Aとの連携も始まります。

・2月12日 急展開に・・・
しかし、M&A計画を練り始めてすぐに、以前から病を抱えていた先代の体調が悪化し、余命宣告を受けるという状況になります。これからゆっくりと進めていくはずだった計画が急務の事態になりました。

・持株会社のスキームに移行し、M&Aに至る
通常、借入れという方法が頭に浮かぶところですが、個人が借入れをし返済をしていく形となると、例えば税金が累進課税で高くなることや社会保険がマックスになる等、様々な懸念点があります。そのため、持株会社の方法を取ったのです。
そして、その会社に金融機関から新規の融資で借入れし、株を買い取るという形に至りました。

◎普通に100%株主になるケースと持株会社をつくるケースでの違いとは?

今回の場合、持株会社をつくるというケースでしたが、銀行が投資をしやすいという意味では、それほど大差はありません。しかし、個人が借りるとなれば、さらに別途保証人が必要になる可能性や、資金効率も個人で借りる場合のほうが悪くなるため、10年計画で見るとキャッシュフローの残りが変わります。ですので、もしどちらも選択できるという場合には、持株会社のケースのほうがやりやすいと言えます。

 

第2部:株式会社ラグザイア・毛利良相社長/M&Aで売却後も会社に残り経営を継続する

株式会社ラグザイアは、毛利社長が28歳のときに、大学の同級生・佐藤氏と共に立ち上げた会社です。Ruby言語を扱いアプリケーション開発を行う会社であり、技術に特化したビジネスを行われています。
会社のこと、そして、そこで働く仲間たちのことを第一に考え、「営業力が足りない」といった会社の抱える悩みを解消するなどを主眼に、未来を見据えたM&Aを行った事例です。

◎M&Aを意識したきっかけ

2018年頃から毛利社長の元に「株を売りませんか」という話が多く来ているという状況下、その中には既存の取引先からの申出も含まれており、そういったニーズに応えることも方法としてあるという意識を持った点がまず一つです。

また、2004年から事業を行っている中で、システム受託会社として新規獲得がうまく回らない、利益のアップダウンが大きい、会社の売上げが伸びていないといった「営業力」に対する悩みや、これから先々を考えると、10年以上働いてくれている社員の将来に対し安心をもたらせたいという思いがきっかけとなりました。

◎当時の財務状況は

少し波があり、一時期大きく下がったときでもあり、それをどう挽回していくかという状況。

◎急務もない状況でM&Aの検討から半年という早さでの実行に

M&Aの相手先に重視した点としては、「仕事を渡してくれる会社」というのがまず大きなポイントとして上げられます。

そして、仲介会社を介し提案された3社の中から、最終的に、もう一つのポイントであった「Rubyによる開発投資を行っている会社」といった視点も加わって、親会社である1社を選ぶに至ります。

・純資産ではなく「技術力・人材力が決め手」など、少し特殊な例でもある
本来、株価としては純資産を中心にした計算となるところですが、「技術と技術者の価値」が認められ、それが要素になったという珍しいケースでもありました。

◎M&A後も体制は変わらず

譲渡後の懸念点として、親会社が決まった後に様々な人事異動が起こるといったケースも多い中、毛利社長はあらかじめ「うちのやり方を変えない」という条件を提示したとのこと。
もちろんお客様のニーズに対するやり方はそこに合わせるものの、もともとラグザイアが早くから取り入れていた働き方改革(テレワーク/転勤なし)といった部分も含めて変えないということを、取り決めとして交わしていたことがポイントと考えられます。それにより、社長や佐藤氏もそのまま残る形に至っています。

その中で、親会社のビジネスにコミットすることとしてRuby以外の技術に取り組むチームを立ち上げるなど、双方にシナジーを生むことに対しては、体制として変化した要素もゼロではありません。加えて、親会社への報告義務や毎月のレポート作成といった業務は増えたものの、もともとのオペレーション業務としては、ほぼ変わりないという状況になります。

◎M&Aを行うことに対する社員の反応

親会社が上場企業(当時)であったため、ラグザイアとM&Aを結ぶことを、毛利社長と佐藤氏の2人を除いては、インサイダー取引を回避するために内密に進められており、幹部も含め、社員にはぎりぎりまで伏せられていたという状況がありました。

そういった形で、毎週一度開かれている幹部会(毛利社長、佐藤氏も含め8名)にて報告が行われた中では、今後の体制や社長らの進退についてなど、ごく一般的な不安点は上げられたものの、毛利社長らの条件の上手な結び方により、誰一人反対者は出なかったとのこと。また、現在の離職率も大幅に下がったという状況です。

毛利社長がM&Aを経て・・・
実は、毛利社長は過去に一度M&Aを経験し、リーマンショックとの絡みで失敗も経験しているため、今回のM&Aは2回目となります。しかし、その経験があったからこそ、「どれだけこちら側の安定性を担保してくれるか」といった点を明確にビジョンを固めていけば、ポジティブなM&Aになるのではないかと確信を持ったとのことです。
タッグを組める、会社としてより大きくなれるような相手先を選ぶことが大事だというアドバイスを最後にいただきました。

曽根原社長がM&Aを経て・・・
曽根原社長からも、事業を引き継げる親族がいないといった場合の継承に際し、本当に誰にも承継できなければ、その株は紙くずとなってしまう。少しでも早くに、社長からでも社員からでもお互いに事業承継の相談をすることが大事だといった助言をいただきました。

曽根原社長と毛利社長、それぞれ全く異なる事業承継やM&Aを経験されています。
こういったケースも含め、今回の内容についてもっと深く内容を聞いてみたいといった際には、ぜひ当事務所までお問合せください。
明るい事業承継及びM&Aに至るために、皆様のお力になってまいります。

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